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⑧ 山梨県鈴庫鉱山ブーランジェ鉱を伴う老脈型金銀鉱(490g)
鈴庫(スズクラ)鉱山は甲州市北部、鈴庫山(標高1600m)山頂の南西1.4kmの沢沿いに位置し、武田信玄時代に金山として開発され、明治-昭和初期にかけて断続的に金銀鉱が採掘された鉱山です。鉱床は花崗岩中のペグマタイト性石英脈で初成鉱石鉱物としては、多量の硫砒鉄鉱のほか、多い順に黄銅鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、ブーランジェ鉱、車骨鉱、輝銀鉱、自然金などを含みます。また、石英脈中に褐簾石を産したとの報告もあります。地表部の酸化鉱が採掘された信玄時代には多量の自然金を産出したとの言い伝えがあり、また鈴庫鉱山北方の滑沢流域には信玄時代と思われる小規模な堀跡が点在し、カラミが残っているので、灰吹法による金銀の精練も行われていたようです。記録の残っている昭和期採掘の鉱石平均品位はAu14g/t、Ag119g/tと結構高品位の金銀鉱を産出しました。
出品の鉱石は坑口前のズリからの採集品で、乳白色石英中の赤・緑矢印先に銀白色のブーランジェ鉱(BoulangeritePb5Sb4S11)が認められます(1枚目写真)。本品のブーランジェ鉱は方鉛鉱と密に共生し、鉛黒色の粗粒方鉛鉱中に銀白色ブーランジェ鉱が細脈状に存在します(2,3枚目写真)。
鈴庫鉱山のブーランジェ鉱は微細な繊維状結晶の集合体であるため、破断面はギザギザで乱反射するため銀白色を呈するので、慣れれば車骨鉱と肉眼で区別できます。
鈴庫鉱山からは、2種類のアンチモン鉱物;車骨鉱(BournoniteCuPbSbS3)とブーランジェ鉱(BoulangeritePb5Sb4S11)を産しますが、銅を含む車骨鉱は黄銅鉱の周囲に、銅を含まないブーランジェ鉱は方鉛鉱と共生する傾向があります。
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